2014年TRY360案内文
千葉の稲毛にある行きつけの自転車屋が、太平洋の千葉から日本列島を横断して、新潟県の上越市直江津まで走る。
・・・・・
日本中で長距離走を試みる集団は数々あれども、40人を超える規模で、ほぼ全員が完走する300km超えは少ないだろう。
しかもその参加者と言えば、還暦を超えたベテランもいれば、ごく普通の女の子も混じっているという、どこにでもありふれた人ばかりだ。
そんな書き出しの、のぐちやすおさんのエッセイを眺めながら、2014年TRY360に思いをはせる日々です。
どこまで行けるかやってみようよ!
メンバーさんの声に引きこまれ、1990年に第1回目を開催。
そんなTRY360も今年は25回目を迎えることとなりました。
これも、毎年一緒に走って頂ける皆様のお陰です。
素晴らしい仲間と巡り合えて感謝です。
開催時期は過去7月第1週、7月最終週、9月初旬、10月第1週と色々なパターンが有りました。
7月最終土曜日は南風のアシストもあり完走者を最も多く排出している時期でしたが、地球温暖化の影響で35度を超える暑さの中の走行は、あまりにも過酷、熱中症等深刻なトラブルの発生も懸念されます。
その点を考慮し、5年前より9月後半に変更致しました。
もちろんTRY360にチャレンジするにはそれなりの準備も必要です。
自転車に乗る時間が少ない方にとっては、その長い乗車時間が色々なストレスを生みだします。
膝、お尻、肩、腰と行程が進むほど拷問を受けているような錯覚に陥るほどです。
でもチャレンジしたという満足感は何事にも変えがたいもの。
途中で帰路につく方も、今回自分にとって足りなかった点など反省しながら次につなげる事が大切です。
そしてペダルを回していれば必ず目的地に到着できることを身をもって体験する事は、皆様の人生にとって貴重な体験となることでしょう。
完走されたメンバーが直江津で最高の笑顔と共に一言
「今までの人生の中で、こんなに一生懸命やった事って無かったですよ」
「やっと着いたぁ。これを肴に一年間酒が呑めるんだよねー」
「どこまでも走って行ける様な気がするね」
「もう、自転車見るのも嫌だ」
「お尻がぼろぼろ・・・」
「来年はどのルートを走ろうか?」
「みんな、有り難う!」
「もう、西船でやめようと思った」
「辛く楽しい、夢のような一日」
「ロードレーサーに乗っていて本当に良かった」
私も還暦を過ぎ、かつてのようなスピードや走力はありません。
2014年チャレンジするルートはどこからでもエスケープできる軽井沢ルートです。
初参加のメンバーの方と共に、最も遅いペース(25-28km/h)で22時着を目指します。
「田野さん、BAFF巻いたらヘルメット被ってくるの忘れちゃった~
どうしよう?」
こんな、強烈なジャブを繰り出したのは
今年、チームを組む素敵なLADYのNSさん
昨年の春にロードデビュー。
自転車学校、土曜日O2練習、5月の女子会200kmと楽しみながらステップアップしてくれました。
レンタル用で寄贈してたいただいたヘルメットを渡し
「今日は、僕に100%任せてください」
とストレートでお返し
集まってくれたメンバーは26名
今回、体調不良や仕事の都合などでスタートできなかったメンバーもおられます。
家族や応援して頂いた皆様等多くの人に、TRY360をスタート出来ることに感謝しましょうと伝え
9月27日午前2時にスタートしました。
今回の最大の目的は、
『時速25kmペースでもワンデーツーリングとして日本海までたどり着けることを実証する』
ことでした。
私も還暦を過ぎ、最近はBチームの練習スピードについていくのも難しくなってきました。
またメンバーの方の中にも年齢を重ね、今まで先頭交代に加わりながら19時から20時台に直江津に到着していた
方も途中でちぎれたりチームとして完走する事が困難になってくるはずです。
そんな方々が25km/hペースで集団をコントロールし、初挑戦の方やスピードの無い女性達のサポートして22時ゴールを目指す。
力の劣る人たちもベテランのライダーが経験を生かして集団をコントロールする事により、
安全にロングライドを楽しんで頂けるようなモデルケースを作りたかったのです。
スポーツバルム、アクティブマッスルウォーマー(赤)を足に塗り
初代GIROジャージとRH+のBIBショーツで走りだします。
国道14号を市川へ、江戸川手前を右折、矢切りより外環にそって国道17号の交差点を目指します。
さいたま市南区辻1丁目を右折、第一回目の休憩です。
午前4時45分の気温は低く、体も冷え切ってきました。
最大の敵と気がかりなのは、走りだして3時間になるのにずーっと吹き続けている北風です。
アゲインストなのでスピードは思うように上がりません。
でも、一緒に走ってくれているNSさんは明るく元気そうなので安心
国道17号さいたま市は信号が多くストップアンドゴーが続きます。
毎回毎回ペダルを外していると膝関節にストレスがたまりやすいので、ガードレール等によりかかる止まり木作戦が有効です。
「こっちの方が楽だよ」
とNSさんに伝えたところ
「キャー」
止まり木をつかみ損ね右側に転倒
ブラケットとサドルが曲がっただけで怪我もなく一安心。
昨年もさいたま市で落車が有っただけに鬼門ですね。
夜も明け上尾運動公園を通過、信号の間隔が広がり少し走りやすくなって来ました。
そんなTRY360を楽しませてくれる装備はこちらです。
TREK Madone 5.2 H1 560mm
コンポーネント:カンパニョーロ レコード・コーラス・ケンタウル Mix
クランク:170mm×50×34
スプロケット:ケンタウル10S 12-27
ハンドル:ITM カーボン 440mm(外々)
ステム:ボントレガー 100mm
サドル:ボントレガー Serano RL ミディアム
ホイール:MICHE シンチューム
タイヤ:ビットリア コルサ SR 24mm
ライト:キャットアイ HL-EL540
テール:BORO CM1.0R
キャリア:GIRO-TRY360オリジナル
走行距離は60,000km以上ですが、数々の思い出と共に走ってくれる相棒です。
ほぼ例年と同様の装備ですが、ポイントはオリジナルキャリア+バッグと
コルサSRの24mmチューブラー、そしてH-EL540です。
それにしても国道17号は悪路、縦方向の路面の皺が多すぎです。
しかも深い。
原因は夏の暑さと大型トラックの車体重量です。
これは2輪にとっては危険極まりない障害となります。
また、年々その路面状況も悪くなってくるような気がします。
予算の関係かも知れませんが、もう少し補修工事をおこなって欲しいものです。
自分は大丈夫でしたが、うしろのNSさんが路面にホイールをとられたりしないかとハラハラものでした。
ほどなく軽井沢ルートの時には必ず立ち寄る、倉賀野セブンイレブンで小休止。
高崎観音を左手に観ながら17号に別れを告げ国道18号へ、長野方面の標識があらわれはじめます。
拡がる関東平野を後ろに安中、松井田を過ぎると登り基調、淡々とと言い聞かせながらペダルを回します。
回している限り限りなく目的地に近づくことが出来るのです。
ところが、両足ともに腸脛靭帯のズキンという痛みが出始めました。
引き足多用型の私のペダリングには足の甲部分のルーズさが大切。
一か月ほど前に換えたアディダスのシューズの第3ベルトはバックル式でかなり緩めにしているつもりでしたが
固定している長さ以上に伸びないため膝関節に負担がかかったようです。
横川手前、妙義山を望む
横川釜めしののぼりがやっとみえたころには、
大丈夫か?俺の足・・・・・
峠の釜めしとみそ汁で元気回復、これから軽井沢を目指し碓氷峠を攻略です。
碓氷峠鉄道文化むら
を右手に旧道へとハンドルを切ります。
膝の痛み対策としては、シューズの第3ベルトのバックルを一番緩いところに固定しなおし
大丈夫と自分に言い聞かせて!!
碓氷峠のコーナーにはC〇〇とコーナー数の標識が立っています。
194ぐらいだったような気がしていましたが実際にはC184、ちょっと得した気分でした。
軽井沢から上田までは一気に下り、
交通量の多い街中を注意して進みます。
日も暮れかかるころ長野到着、予定通りです。
早速、夕食
「牛丼でいい?」
「いいですよ」
気取らないところ大自然に溶け込めるところ、今回のパートナーは最高です。
長野吉野家 18時でした。
信濃川の支流である犀川に架ける長野大橋を渡り
豊野より志賀高原方面のスキー街道としておなじみの117号アップルラインに入ります。
千曲川と並行して走る国道を走ると、20代のころ斑尾スキー場で過ごした日々が懐かしくよみがえってきます。
休日に町に下りて小布施の竹風堂
で栗おこわを食べるのが楽しみだったものです。
いつかはTRY360の良いところどりで高崎まで新幹線、軽井沢でちょっと早いランチ、そして小布施竹風堂で栗おこわ
ゴールはひろ坊の餃子のグルメツアーをやりたいものですね。
さて、すっかり日も暮れ信州中野を過ぎ一路飯山へ
TRY360軽井沢ルートには長野から国道18号をひたすら走り、妙高高原(標高800mぐらい)を越えて日本海に下るルートと
今回の豊野を右折、飯山から左折292号線富倉峠(標高690m)を越えて下るルートが有ります。
調べてみると不思議な事に距離はほとんど変わりません。
緩いだらだら登りが続く妙高高原と短いが真っ暗で急な富倉峠越えとルートも対照的です。
丁度、野尻湖を挟んで左側が国道18号の妙高高原越え右側が飯山ルートになります。
街並みの建物も雪国特有の高床式が目に付きます。
292号線の登りは4~5㎞程度ですが、34T×27Tに入りっぱなしの蛇行走行。
膝の痛みも相変わらず…
2人のライトがゆらゆら交錯します。
こんなにフラフラで坂道を登るのは一年に一度だけ、もうやるものかと思いながら
もう21回、不思議なものです。
何がそうさせるのだろう…と思いながらの走行でした。
おぼろげながら出てきた答えは
『俺を必要としてくれる人がいるから』
そんなことを思いながら富蔵峠到着。
ウィンドブレーカーを着こんで下り対策です。
さあ、餃子が待っている。
2人で
「餃子!餃子!」
と、餃子コールを口ずさみながら・・・・・
「2014年9月27日TRY360レポート・その3」 ロングライドにチャレンジ
満天の星空の下、一気に下りになります。
10m走っただけでブルブルと、
ウィンドブレーカーを着てはいるものの寒さで身体の震えが止まりません。
こんな時はBIKEも震えが伝わり直進してくれません。
ただ今回新調したキャットアイHL-EL540のライトは、ハイビームにすると車が避けてくれる
明るさで真っ暗の下りの九十九折れでは助かりました。
真っ暗な下りの基本は、道路の真ん中を走ることです。
コーナーの有無や深さが分かり難い時には特に有効な走り方です。
対向車や後ろから近づいてくる車はライトではっきりと分かります。
路肩付近を走行ラインに取るとちょっとしたコーナーの読み違えでアクシデントを起こす可能性が有りますので
注意が必要です。
すれ違う車は3-4台、追い抜く車も2-3台と夜は交通量の少ない道です。
その中で、ライトをつけて上ってくるロードバイクが4-5台、きっと向こうも
こんな時簡に下ってきたロードバイク2台。
お互いに何処からきて何処まで?って思っているな、などと考えていると
真っ暗で長くテクニカルな下りも終焉に近づいてきました。
空が街の明かりで若干明るくなってくると交差点の右側にセブンイレブン(新潟県妙高市姫川原)が登場。
315km地点
信越本線 新井駅近くでコーヒーブレイク。
時計は22:00を指しています。
コンビニのスタッフに
「直江津までどれぐらいですか」
「車で45分ぐらいです」
ダイジに連絡、みんなの賑やかな声が聞こえてきました。
ほとんどのメンバーはすでに到着しているとの事、一安心です。
22時台の到着は諦め残り25kmを安全最優先で走りだします。
ルートラボによるとまだ標高は120m、下り基調と追い風でスピードも心なしか上がってきます。
6~7km進むと豊野で別れた国道18号と交差、右折して18号に進路を変更します。
もう、国道8号を交差すると直江津。
また来れたという安堵感でいっぱいになります。
関川の橋を渡り直江津駅の標識が登場
ゴールは
「先に行きな!」
とNSさんを先頭に
懐かしい赤ちょうちんの暖簾を上げると、ひろ坊のオヤジさんが飛び出してきてくれました。
「よく来たね~」
340km、乗車時間17時間、スタートして20時間15分の旅は、今年も無事終わりました。
完走記念Tシャツを受け取り、2階の座敷に上がります。
先着のメンバーの笑顔笑顔が出迎えてくれます。
早速、ビールで乾杯して美味しい餃子を堪能。
すると間もなく、遅れていた苗場ルートのNさんと付いてくれたシュウトも到着。
誰一人アクシデントに遭うことも無く、全員無事完走。
楽しく最高に嬉しいTRY360 千葉→直江津ワンデーツーリングとなりました。
平地25km/h巡航で安全に
登りはゆっくり息を荒らさずに
昼食と夕食はコンビニ以外でしっかりと食べる
女子会メンバーの完走
到着時間 22時
このテーマで挑んだ2014年TRY360
前半の向かい風でのタイムロスが大きく到着22時だけがクリアー出来ませんでしたが
パートナーのNSさんの頑張りで予定通り完走する事が出来ました。
走行距離 341km
走行時間 17時間
平均時速 20km/h
今回のTRY360が皆様にとっても自分を見つめる事が出来た貴重な一日となった事でしょう
太平洋から日本海まで一日で走破した自分に自信を持ってください。
『ペダルを回し続ければ必ず到達できる!」
この10月から2015年TRY360に向けてのトレーニングのスタートです。
今回足りなかった点や機材面やテクニックなど考えながら楽しみながら体を作って行きましょう!
翌朝、青さが目にしみる日本海でした。
この記事へのコメントはありません。